十四.未来の現在進行形

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カランカラーン… 「ちわーっす」 今度は七央樹の友人である亀美也が入ってきた。 「おぅ!おつかれ、亀美也」 七央樹が手を上げた。 「よぉ!七央樹ッ!いやーまいったわァー。あ、兄貴ッ!ブレンドくださいッ」 亀美也が一匡に注文した。 「はいよ」 一匡が豆を挽く。 亀美也は地元のバスケットボールクラブでコーチをしている。 高校時代の男子バスケ部顧問であった入船史康が独立し地元でバスケットボールクラブを立ち上げた。 巡り巡って亀美也は史康と再開し、今では二人三脚で地元のバスケットボールクラブを率いている。 「うちの監督の(ふみ)さんがさぁ、結婚するらしいぜー」 亀美也がサラリと言う。 「へぇー、入船先生が?めでたいなッ!俺らが高校生の時、先生の中でも一番若かったもんなー。先生って言うより兄さんって感じだったから何か感慨深いな。怖かったけど…」 七央樹が遠い目をしながら言う。 「その結婚相手、誰だと思う?」 亀美也がニヤッとする。 「え、誰?」 七央樹が目を丸くする。 「俺らがバスケ部だった時のマネージャー、煙崎さん」 亀美也がまたしてもサラリと言う。 「えっ!!マジかよッ!」 七央樹はひっくり返る。 「あ、そうそう」 紗輝もサラリと言う。 「え、紗輝知ってたのッ?!」 七央樹が驚きながら紗輝を見る。 「ちょくちょく瑚己奈とは連絡を取ってるからね、私」 紗輝が笑顔で言う。 「そうなの?」 七央樹がキョトンとしながら紗輝を見る。 「たまにひかりさんと三人で、一緒に食事することもあるよ」 紗輝がまたしてもサラリと言った。 「えぇっ!!」 七央樹は初めて知る繋がりに驚く。 「まぁ俺は高校の時から何となく気づいてたけどなッ!煙崎さんが史さんの事好きだって」 亀美也は笑いながら言う。 「そうそう、何か言ってた…。瀬田くんには気づかれてたかもって…」 紗輝が笑いながら言う。 「えっ!!マジかよッ!…知らなかったの俺だけかよッ!っつーか何にも知らねぇじゃん、俺ッ!」 七央樹は険しい表情をさせる。 「そういう鈍感な所もお前の良いところなんだから自信持てよッ!」 亀美也が弾ける笑顔で七央樹を見る。 「…っっ」 七央樹は真顔で亀美也を見た。 何だか複雑な心境である。 「ごめんね。瑚己奈が照れるから内緒にしといてくれって言うから黙ってたの。だから分からなくても無理もないよ」 紗輝が苦笑いする。 「・・まぁいいけどさ…」 七央樹が口を尖らせながら呟いた。 すると、七央樹はある素朴な疑問が頭に浮かび静かに口を開く。 「っていうか…いつから付き合ってたんだぁ?バスケ部内は恋愛禁止だったよな…?」 七央樹はたじろぐ。 「何かね、私達の卒業式の日に瑚己奈が入船先生に一度告白したんだけどダメで…それからさらに時間空けてニ回告白したら、三度目の正直でOKもらえたんだって!瑚己奈の粘り勝ちッ」 紗輝はニコニコしながら言う。 「マジか…」 七央樹は自分の知らない所で起きている事実に目を丸くしながら驚いた。 「まぁ人生、どんな未来が待ってるか…誰と誰が結ばれるかなんて分からないもんだよねぇ。それこそ…愛があれば、年の差なんて関係ないものね」 ひかりがひょっこり顔を出し笑顔で言った。 「確かに。俺も年なんて関係なく愛のある相手に出会いてぇもんだなぁー」 亀美也が頬杖をついた。 「アハハッ!亀美也なら大丈夫だよ!そのうち亀美也にも良い人が現れるって!亀美也は良い奴だもんッ」 七央樹は笑顔で亀美也を励ます。 「だと良いんだがな…良い奴止まりってこともあるからな…。お前はそりゃ良いさァ、高校からの運命の相手がいるんだからッ」 亀美也は七央樹にそう言うと、チラッと紗輝を見た。 「まあなッ!でもそれも亀美也のおかげだぜッ!ありがとなッ」 七央樹は弾ける笑顔で言う。 「・・・っっ」 紗輝は七央樹の言葉と笑顔に顔を赤くする。 「…っっ、まぁ言いけどさッ」 亀美也も七央樹の屈託のない笑顔に何故か胸をキュンとさせ照れる。 ひかり「・・・」 ひかりは弟達の一連の様子を微笑ましく思い目を細めた。
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