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01:何故最初からあんなに自惚れていたのか ~『金緑の風詠士』(二〇一二年)
実は私は子供の頃はそんなに小説を読んでいなかった。
ゲームやアニメのノベライズという、原作を知っている人が本編を追体験する為、あるいはより世界観を楽しむ為の、今で言うラノベタイプの話しか読んでこなかった。
私の書く話が大抵ゲームっぽいのも、理由の大半は、ここを通ったからだと言えるだろう。
そんな私が新たな遭遇をしたのは、二〇〇〇年代も終わろうとしている頃だった。
いきつけの本屋にふらりと立ち寄った時、神輿のように本を積み上げて、
「今、『少女小説』がアツい!」
と特集が組まれていた。
それが私と少女小説の出会いだった。
少女小説を全く読んでこなかったわけではない。
子供の頃は自分で本を買えなかったので、姉が買ってくる本に手を伸ばしていた。その中で、コバルト文庫とかも読んだ。
だが、『少女小説』と明確にカテゴライズされたレーベルに自分から手を伸ばしたのは、この時が初めてだったはずだ。
当時は、コバルト文庫、角川ビーンズ文庫、ビーズログ文庫、ホワイトハート文庫、一迅社文庫アイリス、その辺りが全盛期で、きらびやかな表紙の少女小説たちがしのぎを削り合っている、少女小説戦国時代であった。
その中で私が特に読んだのは、ファンタジー主流のビーンズ文庫だった。
今でも推し作家の一人である、栗原ちひろ先生による『レッド・アドミラル』、『オペラ』シリーズに深く感銘を受けた私は、のんべんだらりと日々を過ごして忘れていた、情熱に火がついた。
「私も投稿してデビューしたい」
いともたやすく行われる軽い気持ちの決意だった。
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