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投稿。私には無縁の世界だと思っていた。
はじめに申した通り、一番近しい人間に「やってみろ」と言われても、やる気が起こらなかった過去を持つし、別の友人の、二次選考まで通過した事がある、という話を、「うわ~すごいですね~!」と聞きながら、自分には無理だろうな、と薄々感じていた。
だが、サイト運営も十年目を迎えた私。何か余計な自信がついていたのだろう。
「私にもできる」と思ってしまったのだ。
原稿を書く時間、ジャンル、長さ、〆切。様々な方向から検討した結果、人生初の投稿先はビーンズ小説大賞に決めた。
「ここなら私でも受け入れてもらえる」
とてつもなく謎の自信があった。
ビーンズ文庫の作品をそこそこ読み、かつて投稿した方にも話を聞き、準備をした。
一年かけて書いた作品、それが『金緑の風読士』である。
Wordで四苦八苦しながら規定の字数行数を揃えてプリントアウトし、CD―Rのメディアにデータを書き込んで、地元の郵便局から簡易書留でソォイ!! と原稿を送ったはずである。
「まあ、一次選考くらいは通るでしょう」
ワナビにありがちな、怖いものの無い初心者ゆえの楽観視が、完全に私を支配していた。
たしか発表は八月。雑誌誌上にてだったと記憶している。
私は雑誌を買い、ワクワクしながらページを繰った。
当然、たつみ暁の「た」の字も無かった。
私は一年目にして、投稿の厳しさの洗礼を浴びまくったのである。
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