01:何故最初からあんなに自惚れていたのか ~『金緑の風詠士』(二〇一二年)

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 そんなわけで、私の人生初の投稿はあえなく敗れた。  初投稿でデビューできる人は天才なのだ。そもそも才能が違う。オンノベサイトで編集部に目をかけられてデビューする人も、そもそも素質と持ち合わせた運や人気が違う。 「私の作品は壁打ちでいい。いずれ誰かの心に響く事があれば」  綺麗事を言いながらも、彼ら彼女らを羨んでいた私は、たしかにワナビだった。  そんな私の心はわりと簡単に折れて、またしばらくオンライン活動のみになってゆく。  そして時が過ぎた今、少女小説は幾つものレーベルが生まれては消えていった。  大御所レーベルさえ電子書籍のみになり、かつて本屋の棚一面を占めていた少女小説がBLのみになって、隅に追いやられているのを見ると、時の流れの非情さを感じずにはいられない。  当時私の考えがいかに甘かったか。その苦味と共に。
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