02:『自作萌え』は創作の糧になる ~『アルテアの魔女』(二〇一三年)~

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 世間知らずだが芯は強い、特別な力を持つお姫様が主人公。秘密を抱えたヒーローと最悪の出会いをするが、旅路を共にするうち、次第次第に距離を縮めてゆく。その裏で繰り広げられる陰謀。誰が真犯人か? 疑心暗鬼の末に辿り着いた地で、主人公達が見たものは?  ……うん、我ながら前回の『金緑の風詠士』よりはいけているのでは?  私はまた自惚れていた。  そしてそれ以上に、この作品とキャラ達に対して、書けば書くほど、推敲を重ねれば重ねるほど、愛着が湧いていったのである。  所謂、『自作萌え』を盛大に発揮した。  毎朝、始業の一時間前くらいに職場に出勤して、休憩室でポメラを叩き、パソコンに移した後は、紙にプリントアウトしてひたすらに読み返す。  この読み返し推敲の時も、私はひたすら自作萌えしていた。  いいじゃん。この話面白いじゃん。  キャラもみんないいじゃん。  いける、いけるって。  ひたすらに自作を(心の中で)褒めちぎった。  謎の自信はいまだに私の中にあった。 『アルテアの魔女』は、プロットを切り始めたのが二〇一二年で、〆切は二〇一三年九月だったと思う。そして一次選考発表が一二月。  CD―Rに書き込んだだけでなく、ダブルクリップを大量に買い込んだ記憶があるので、こちらも紙とメディア、両方を投稿したはずだ。  結果。  一次選考にかすりもしなかった。
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