14人が本棚に入れています
本棚に追加
「これはあのアパートの鍵だ。これをあんたに渡す」
男は驚いた表情で、俺の顔を見上げていた。俺だって信じられない。こんな行動を取っている自分が。
「あんたを許した訳じゃない。そして俺は神でも仏でもないし、あんたを助ける義理もない。
ただ、あんたは父親として、恥ずべき行動を正さなければならない。
人を騙し、家族を騙し、無償で俺の部屋を使い続けている罪も償わなければならない。
いろいろと思うところはあるが、その償いを、あんたの家族にしてもらいたい」
俺は男から視線をはずすことなく言った。男は口を開けたまま、俺の話を聞いていた。
最初のコメントを投稿しよう!