アパートの住人

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 俺は写真を撮ることを生業にしている。  ついこの間まで南極に行く一団に同行し、巨大な氷河、そこに住む珍しい生き物、そして一団の生活を写真に収めてきた。  数か月に及ぶ同行の旅が終わり帰国しようとしたが、立ち寄ったアメリカの人々、そしてその土地が持つ自然の絶景に魅せられ、長居をしてしまった。  そう、俺はまさしく自由な男。風の吹くまま、気の向くまま。縛られるのが嫌いな男なのだ。  そして日本で拠点にしているボロアパートに帰省したら、何か雰囲気が違った。 「こんにちは」 「あぁ、こんにちは」  こんな小さな子供、この辺にいたっけ?  まぁここを出てから、2年も過ぎているんだ。状況も変わったのだろう。  そんなのんきなことを考えていたら、その子が家へと駆け出した。そしてドアを開けて部屋に入って行った。  ん?俺の部屋に近いな。  …って、俺の部屋じゃないか!!  その光景を遠目に見ながら、俺はその場を去った。何となくだが、今詰め寄るのは、何となく避けた方がいい気がした。
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