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何を話しているのかは分からない。子供の、おそらく兄の方が、何やら一生懸命に話をしている。
今日あった出来事や自分のことを話しているのだろう。それは大人にはない、全身全霊の真剣さがあった。
両親はそれを興味深く聞いている。そして何か質問をすると、子供はそれに対して、またもや真剣に答えている。そして笑いが起こる。
弟くんはみんなが笑ったのを見て、とりあえず笑っている。わけは分かっていないのだろう。笑った後、すぐに真顔に戻り、夕食を貪っている。
うん。幸せそうだ。俺にはない輝きだ。
そう言えば、大家ともほとんど顔を合わせた事がない。大家としては家賃の振り込みさえあれば、文句はないのだろう。住民の顔など、いちいち覚えていないと思われる。
俺は大屋の元へ行くのを一旦やめ、その光景をしばらく見守ることにした。
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