9.僕は……(セレーネ視点)

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オリビアちゃんと廊下を進んでいるとエイデンとノアくんが何か話をしながら目の前を歩いているのが見えて、それに気がついたオリビアちゃんがノアくんに声をかけた。 「ビアっ……と……あんたか」 「こら、セレーネ様に失礼だぞ」 「ふんっ、しらなーい」 オリビアちゃんに怒られてそっぽを向くノアくんを見て思わず苦笑いしてしまう。相変わらず彼は僕のことが嫌いみたいだ。 「珍しいねオリビアと一緒なんて」 「……うん。あの、ノアくんとは付き合う予定なの?」 「かな」 まだの部分に含みを持たせながらエイデンがクスリとノアくんを見て笑う。その顔は僕の知らない少しだけ意地悪げなエイデンの顔だった。 ノアくんはそんなエイデンの言葉に、こいつと恋人とかありえない!!って怒って返している。 「大体っ、今日だってビアがエイデンに負けるからっ!」 「仕方ないだろう。エイデン様程の剣の使い手に勝てるのなんてアステルくらいだ。それに勝手に私を巻き込んだのはノアの方だろうに。確かエイデン様が私に勝てたら舞踏会でのパートナーの誘いを受けるだったか?」 「ちょっ、そ、それは、だってこいつが執拗いから……」 「オリビアには悪いけど本気で行かせてもらっちゃったよ」 3人の仲良さげな様子を蚊帳の外で見つめながら、そういえばオリビアちゃんとエイデンは同じ騎士を目指す仲間だったと思い出した。親しいのも頷ける。 「そういえばアルは一緒じゃないの?」 「……うん。今、陛下達とお話してるから」 エイデンの質問に答えると、そっかってエイデンが相槌を打った後に何かあった?って尋ねてくれた。 隠してるつもりだったのにどうして彼には分かってしまうんだろう。 「分かんない……分からないけど、アルが隣に居ないのが不安で……」 「そうか……なら、アルが戻ってくるまで4人で話でもして時間を潰していようか」 「……いいの?」 エイデンの提案を聞いてオリビアちゃんとノアくんにも視線を向けると、オリビアちゃんは二つ返事でOKしてくれて、ノアくんも渋々な感じだけどいいよって言ってくれた。 その気遣いが嬉しくて、ありがとうって皆に伝えたらエイデンがポンって僕の頭を撫でながら困った時はお互い様って笑ってくれた。 その手は温かくて、本当に彼は太陽みたいな人だって思う。 それと同時にアルにも撫でて欲しいって思ってしまった。
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