9.僕は……(セレーネ視点)

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4人で校舎内にある温室に備え付けてあるガゼボまで移動すると、椅子に腰かけて一息ついた。 もう夕刻で生徒はそろそろ帰らなければならない時間だけれど3人は僕の為に帰らないでいてくれて、それがとても有難いと思った。 「そういえばエイデンとノアくんは何処で仲良くなったの?」 「仲良くない!」 僕の問いかけにノアくんが即座に否定の言葉を口にしたけれどエイデンは気にしていないのかノアくんを見つめながらニコニコしている。 「訓練してる時にノアがオリビアの様子を見に来て、その時に初めて話したんだよ。確か3ヶ月まえくらいだったかな?」 「……そうなんだ」 その時期は僕とエイデンが話さなくなった頃だ。僕がその期間でアルのことを好きになったように、エイデンもノアくんと出会って恋をしたんだって思うとなんだか安心したような、少しだけ嬉しいような気持ちになった。 「でも最初はお互い気にしてなかったかも」 「今も僕はあんたのことなんてどうでもいいけど」 刺々しい言葉でノアくんがエイデンを攻撃するけれど、エイデンはそうだねって余裕の態度でノアくんの言葉を受け流している。 「大体っ、エイデンの家と僕の家は仲が悪いんだからそういうの無理だし!」 ノアくんの言葉にオリビアちゃんが確かにそうだなって頷く。 その話は僕も聞いたことがある。エーデルシュタイン公爵家の女当主様であるエレノア様とマクホランド家の当主であるアレン様は仲があまりよろしくないらしい。 「両親がどうだろうと俺達には関係ないと思うけどな」 そう言ったのはエイデンだった。 あっけらかんとした明るい声でエイデンはもう一度だけ、ノアくんに向かって俺達の問題に親は関係ないよって優しく諭すように言った。 ノアくんはその言葉を聞いて、馬鹿じゃないのって強気な言葉を返してからそっぽを向いてしまった。 それを聞きながら、まるで自分に言われた言葉のように感じて胸が苦しくなる。 確かにどんなに親が反対しても、認めてくれなくても、好きって気持ちは変えられなくて、お互いが思いあっているならお互いの間に親が入り込む余地なんて無い様にも感じる。 それに、もしもアルと離れろと言われたとしてもそんなの無理だって僕の心はちゃんと分かってるんだ。 「エイデンは本当に凄いね」 「ん?そうかな??」 エイデンは本当に強い人だ。 そんな彼にずっと憧れていたし、そんな彼のことが前までは大好きだった。 彼の様に僕も強くなりたい。 アルに心配ばかりかけて、守られるだけの存在では居たくない。 「僕、アルのこと大好き……」 ぽつりと呟いた言葉をエイデンが拾って、クスリと小さく笑う。 「それは本人に伝えたら?」 エイデンがそう言って僕の後ろの方に視線を向けるから、僕もそれに釣られるように後ろを振り返ると、遠くの方に愛おしい彼の姿が見えて胸がドクンと大きく鳴った。
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