12.頑張り屋

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結局、会ったらなんて構えては居られなくて、次の日の朝にセレーネの部屋へと彼を迎えに行った。 「アル!」 驚いた顔で扉から顔を出したセレーネにおはようと挨拶を返す。 跳ねている髪を整えてあげて、微かにくまが出来ている瞼を指で撫でた。 「迎えに来てくれて嬉しい」 「最近あまり一緒に過ごせていなかったから」 「うん、寂しかった」 「ねえ、セレーネ勉強のことなんだけど」 「え?……あの、僕なりに頑張ってるけど中々上手くいってなくて。大丈夫だよ!僕絶対いい成績にしてみせるからね」 「うん。セレーネならきっと出来ると思う。でも、俺にも手伝わせてくれないか?」 「……え」 頑張っているのを知っているから手伝いたいんだ。一緒に勉強すればきっとセレーネだけじゃ解決出来ないことも助けてあげられると思うから。 それにセレーネだけが婚約のために頑張るなんておかしい。俺とセレーネ2人で頑張らないと。 「……一緒に勉強してくれるの?」 「最初からそうしてれば良かったって思ってるよ。セレーネだけ頑張らせてごめん」 「……ううん!嬉しいっ!!アルが手伝ってくれるならもっともっと頑張れる」 花が咲きほこるみたいに笑ってくれるセレーネのことを思わず抱きしめた。 本当に彼は凄い。 セレーネの額にキスを1つ落として、大好きだよって囁いた。 そうしたらセレーネも大好きって返事を返してくれる。 鞄を部屋から取ってきたセレーネと共に登校すると、いつも通り階段のところで別れる。 彼の後ろ姿を見つめながら、その背中の逞しさに思わず笑みがこぼれた。 「おはよう」 「エイデンおはよう」 「何かいい事あった?」 「セレーネは凄いって噛み締めていたんだ」 「やっとわかったか」 「ああ」 すっかりエイデンと教室に向かうのが恒例になってしまった。 彼と最初にあった時は恋敵だったのに、今や悪友だ。 「ノアとはどうなってるんだ」 「んー、中々難しいよね」 「……そうか」 2人が上手く行けばいいと思うけれど、中々そう上手くは行かないのだろう。 エイデンと別れて、席に着くとテキストを開いて書き込んでいく。 セレーネのためにセレーネの学年のテキストを用意したんだ。それに要点を書き込みながら、全員が幸せになれればいいのになってつい思ってしまった。
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