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あれから時が経ちあっという間に試験の日は過ぎてしまった。
「緊張するよ……」
試験結果の張り出される掲示版付近でセレーネを挟むように俺とエイデンは立っていた。
ノアとオリヴィア達の結果はまた違う場所に張り出される。
掲示版の前で集まっている生徒達の中に入っていくのは至難の業で困っていると、おもむろにエイデンがその集団へと向かって行き始めた。
エイデンに気がついた生徒達が次次に場所を開けていき、それを後ろから眺めながら相変わらず凄いなって苦笑いをうかべた。
エイデンに呼ばれたから、俺達も掲示版の前への足を向ける。
相変わらず他の生徒達はセレーネとエイデンと共にいる俺のことを訝しんでいた。
「アルは相変わらず1位だね!」
セレーネが自分のことみたいに喜んでくれるから俺はありがとうってお礼を言ってから、セレーネの名前を探した。
セレーネは俺達とは1つ学年が違うから別の結果表を目で追う。
「すごいじゃん!」
探していると、エイデンが突然声を上げてセレーネの髪をわしゃわしゃと撫で始めた。
それに驚いてセレーネは声を上げたけれど、その後は少しだけ恥ずかしそうに頭を撫でられている。
その光景にすこしだけムッとしたけれど、友達なら仕方ないって無理矢理納得させた。
「3位か。セレーネ凄いね」
セレーネの隣に並んで俺もセレーネのことを軽く撫でてあげる。
そうしたら一気に彼の顔が赤くなって、それに少しの優越感を覚えた。
「僕こんな順位取ったの初めてで夢見たいだよ」
「セレーネが頑張ったからだよ」
凄いねってもう一度伝えてあげると、セレーネは嬉しそうにはにかみながら、ありがとうって返事を返してくれた。
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