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ねえ、お姫様。
おとぎ話に出てくるお姫様は、王子様に出会って幸せになるけれど、それはね王子様も同じなんだ。
セレーネのことを抱きしめながら、キスを贈る。
柔らかな音楽が会場内を満たし、俺達の会話を聞いていた生徒達が、パラパラと拍手を送ってくれた。
恥ずかしかったのか、セレーネが顔を真っ赤にさせながら俺の胸に顔を押し付けてくる。
それが可愛くて、思わず破顔してしまった。
「俺達もどう?」
エイデンがノアに尋ねたのが聞こえてくる。少し考える素振りをしていたノアが、エイデンの頬に軽くキスをしたのが見えた。
クスリと、セレーネが笑う。
それにつられて、俺も笑い声を漏らした。
その笑顔をいつまでも隣で見つめていたい。
きっとこれから先も、困難はあるのだと思う。
でも、セレーネと一緒なら大丈夫だと確信できるんだ。
あの日、公爵家の中庭で出会った天使のように可愛らしい俺のお姫様は、俺が思う以上に強くてかっこいい。
そんなセレーネに何度も助けられるのだろうな、と感じる。
「卒業おめでとう。アル大好きだよ」
「ああ、俺も大好きだ」
ずっと、一生。君だけを思い続けると誓うよ。
音楽が変わると、皆がパートナーとダンスを踊り始める。俺とセレーネもその中へと、手を取りながら進んだ。
fin.
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