ドキドキ

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一人でいることが多い私は、自然と一人で居られる場所を見つけてしまう。一人でご飯を食べたり、何となく考え事をしたい時にくる場所に私と風間くんは来ていた。 その日、私は初めて授業を休んで、同級生の男の子と二人っきりでいる。誰も使っていない空き教室、施錠もされていないので私はこっそり使わせてもらっていた。 「こんな穴場を知ってるって、江見さんってちょっと悪い子だったんだね」 「ち、違います。それは勝手に空き教室を使ってるのは悪いことだけど、その一人でご飯はちょっと寂しいので」 誰かに見られるのは嫌だから、 「なんて冗談だよ。冗談。一人でご飯が寂しいなら誰か誘えばいいのに」 「友達が別の教室で、わざわざ行くのも、悪いかなって」 「そうじゃなくてさ」 と風間くんが言った時だった。 「誰かいるのか!?」 野太い声が割り込んでくる。そこにいたのは生活指導で厳しい松戸[まつど]先生だった。丸坊主の頭に野太い声が私は少し苦手だ。 目の前で風間くんがしーっと人差し指を立てている。私はとっさに口をふさいでコクコクと頷く。こんなところで見つかったらあらぬ疑いをかけられてしまう。 「誰もいないのか。話し声が聞こえたんだが、まぁいい」 がしゃんと音がして、のっしのっしと松戸先生が立ち去っていく。ほんの数秒の時間だったのに、私はすごーくドキドキしてしまった。何よりびっくりした風間くんの顔が目の前にある。
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