1.予想外すぎる、この出会い

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そもそも香澄は、自分が処女であると八島に言ったことはなかった。 「ど、どうして……私が……その……」  処女という単語を言うのが恥ずかしくて、香澄がもごもご口を動かしていると 「ここまでの流れで、処女じゃない方がびっくりでしょ。私を誰だと思ってんのよ」  と、間髪入れず矢島に指摘された。 「ごもっともです、はい」 「まあ、処女捨てろはさすがに言いすぎたけど……異性の肌に触れる経験、人生で1度はしてみてもいいんじゃないかしら」 「……何のために」 「恋を生むためよ」 「恋なら……普段自炊してますけど……二次元ですけど……」  香澄がそう言った瞬間だった。  スピーカー越しに、机が叩かれた音が香澄の耳に入ってきた。 「香澄ちゃん。真面目に聞きなさい」 「す、すみません……」  香澄は、泣きそうになるのをぐっと堪えながら、八島の次の言葉を待った。 「だからね、あなたのセリフに問題があるから、ディレクターにこっぴどく怒られるんでしょう?わかるでしょう?」  ぐうの音も出ない……と、香澄は思った。
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