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玲衣は、後ろ手に手錠をかけられ、口にはガムテープを貼られたままベッドに転がされていた。
「よくやってくれた」
傍らでは、父が探偵に紙幣を渡している。
「では、私はこれで」
男は出ていき、部屋には親子二人が残された。
「しばらく見ないうちに、艶っぽくなりやがって」
どさり、と父は玲衣の傍に腰掛け、その髪をさらりと撫でた。
その仕草に、怖気がくる。
玲衣はもがいて、逃れようと必死になった。
「逃げるなよ。また二人で、仲良くやっていこうぜ」
「んうぅ!」
目に涙をにじませながら、玲衣はうめいた。
「久しぶりに、一発ヤッとくか。なぁ?」
父親は、手加減なしに玲衣の口からガムテープを引きはがした。
言葉が自由になった玲衣は、真っ先に叫んだ。
「嫌だ!」
「何ぃ?」
「僕はもう、父さんとは一緒に暮らしません。触らないで!」
「生意気、言いやがって!」
玲衣は、頬を激しくぶたれた。
それでも、声を殺して耐えた。
「僕は、父さんの言いなりにはなりません!」
哲哉との愛で培った力強さが、玲衣に宿っていた。
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