第十一章 誓い

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「大丈夫か、玲衣」 「はい。僕、平気です」  だから。 「だから、もう。もう、行きましょう」  ね、と微笑む玲衣は、泣き笑いの表情だ。 「私と一緒に、来てくれるか?」 「はい」  池崎が、父親から手錠のカギを奪い、玲衣を自由にした。 「可哀想に。手首に傷が」  擦れて赤くなった玲衣の手首を、池崎は優しくさすった。 「行きましょう、哲哉さま。もう、こんな所に長居は無用です」  きっぱりとした池崎の声に、哲哉も玲衣も、歩き始めた。  父親だけが、いつまでも往生際が悪かった。 「ちくしょう! 訴えてやるぞ。人身売買に、傷害罪!」 「好きにしろ。逃げも隠れもせん」  哲哉の冷たい返事に、父はうなだれた。  格が違う。  おそらく、俺がどうあがいても、敵わない男。  それが、神森 哲哉だった。
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