第二章 ここが君の家だ

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第二章 ここが君の家だ

 哲哉のリビングは、居心地が悪いほど整頓されていた。  装飾は一切ない。  唯一生活の香りがすると言えば、彼の掛けているソファの前のテーブル。  グラスと、洋酒のボトルが置いてあるのみだった。  部屋に入った玲衣の姿に、哲哉は声を掛けた。 「さて、さっそく始めようか」  日中、デッサンを始めた時と同じ言葉で、全く気軽に。 「はい」  哲哉に伴われ、玲衣は寝室へ進んだ。  大きな、寝心地のいいベッド。  ここでそのまま眠ってしまえれば、どんなに幸せか……。 「玲衣は、こういう行為は初めてか? 経験は?」 「は、はい。あります、経験は」 「そうか。ならば、楽だな」 「はい」  楽、なんてことないのに。  今日初めて出会った人に、抱かれる。 (でも、今までもそうだったし)  玲衣は諦めて、パジャマを脱いだ。  体を小さく折り曲げて横を向いて寝ていると、哲哉の手がその身に触れて来た。  思いのほか、温かな手だった。  縮こまり、震えている玲衣に、哲哉は不審を感じた。
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