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【 1 】
【私立薔薇の咲学園】とは、山奥に設立された全寮制男子校のことだ。
進学校として有名な薔薇ノ咲学園は、毎年成績優秀な生徒たちが入学、卒業している。
在校中は友情を育み、将来のために勉強している。
──だか、それは表立った噂。まやかしだと俺は思っている。
だって男子校で全寮制。思春期にはいろいろと溜るものがあるだろう。
それに、この薔薇の咲学園、巷の一部の者達からは"王道学園"と呼ばれている学園。
何も無いわけがない。
人気投票で選ばれる生徒会。風紀委員会、生徒会や風紀委員、美形な生徒達のファンで結成された親衛隊、ホストみたいな見た目をした教師。
あぁ、考えただけでもワクワクする。
俺、夢咲 悠(ゆめさき ゆう)は、これから王道転入生としてこの学園でハーレムを築き上げるのだ。
夢にまで見た学園。本当に存在するとは思ってもみなかったが、よく見つけたものだ。よくやった、自分。
王道学園では、まず初めに副会長と出会う。それが物語への第一歩。
誰にでも優しそうな笑顔を見せているが、実際の性格は腹黒く、心からの笑顔を見せない。
それを指摘し、気に入られるというのが副会長ルート。考えただけでも楽しみだ。
「よし、行くか!」
そう闘志を燃やす俺は、運命の出会いその1のため、学園にそびえ立つきらびやかな門をよじ登り、副会長が来るのを待つことにした。
──が、待てど暮らせど副会長は来ない。
おいおいいきなり物語が最終話にでも向かってんのか?
何で来ないんだよ、おい
門の上に座ってんのも疲れんだよ。
もう降りてしまおうか。うん、そうしよう。
攻略順が多少変わっても大丈夫だろ。
そう判断した俺は門から飛び降り、さっさと職員室に向かおうと足を進めようとした時だった。
「ほら!やっぱり転入生待たせてんじゃん!」
「待たせた以上の問題でしょうあれは。何でよじ登ったんですかあの人。頭大丈夫なんですか?あと普通に危ないでしょう。」
「んふっw恵ってば辛辣~」
門を飛び降りた俺の目の前には、俺が待ちわびていた副会長であろう生徒と、謎の美形な生徒がいた。
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