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出会い
『ねぇ、海』
「なに?」
『アイスが食べたい』
「そう、食べれば?」
『持ってない』
「うん。だったら買えばいいだろ」
『めんどくさい』
「だったら我慢して」
『やだ』
「なんで?」
『食べたいから』
「買わないと食べられないよ」
『うん』
「うん。」
『買ってきて』
「え、やだよ、」
『なんで?』
「めんどくさい」
『ひどい』
いや、ひどいと言いたいのはこっちの方だ。
僕たちはこんな単調な会話を延々と続けている。
どんなぶっ飛んだ内容でもきっと彼女と話せば動揺も何もないのだろう。
いつも通り淡々と話していくだけだ。
なんとなくの彼女のわがままをよくわからないままスルーする。ニヤニヤと悪戯に話している彼女はちょっと迷惑そうな僕の顔を見てご満悦なようだ。
まったく、彼女の突拍子もない発言に付き合う僕の苦労もわかって欲しいもんだ。
でも、実際僕だってそんな彼女の発言に満更でもないような顔で返してしまっているわけで、
僕が彼女に出会ったのは高校生の始まり、
入学式の次の次の日くらい。日にちはイマイチ覚えていない。
僕は1人になれるところを探すべく学校探検をしていた。
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