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プロローグ 解かれた妖怪たち
かつて、妖怪と人間が共存していた時代があった。
ある時は、友好的に。ある時は敵として。
人間が人間同士で争いを始めたとき、妖怪はそれを鎮めようとした。
しかし、人間たちは妖怪の行いを妨害だと感じて、妖怪たちを全て封印してしまった。
そして、そんな人間たちの中に不思議な神通力を持った美しい王子がいた。
無敵の魔神を配下に従え現世に災いをもたらす悪しき 魔物を討つこの王を人々は 破魔之天王(はまのてんおう)と讃え、畏れ敬っていたと言う……
それから、時代が流れた。
「これが伝えられてきた妖怪の封印場所か……」
闇の中に1人の男が札まみれた巨大な石を見つめながら呟いた。
「今、自由にさせて見せますからね。我が友たちよ……」
男は石に手をやると、石に貼りついていた全ての札が青い火を放ちながら燃えていった。
そして、石は砕け散り、中から風が嵐のように吹き荒れた。
それは風ではない。
妖怪たちの魂が一気に溢れ出したのだ。
魂はうめき声を上げながら四方八方に飛んで行った。
「今度の妖怪と人間の戦いはどんなものを見せてくれるのか。お手並み拝見だな」
男はその言葉を残し、闇の中に溶けていった。
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