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第9話 妖怪たちの反撃
ぬらりひょんはいつの間にか背後に現れ、頼光を抱きかかえると、リンエンたちの真ん中に放り投げた。
頼光は地面に顔面から激突した。
「痛いーーーーーーー! おい! 破魔之天王様を大事にしろ!」
「はっ! 破魔之天王にも強くなってもらわねばならないからな! 先代はこれくらい何ともなかったわ!」
「本当に先代にもこんなことしてんのかよ!」
頼光が騒いでいるのをリンエンたちは呆れて見ていた。
(こんなやつを守らないといけないのか)
一同の思いは一致していた。
「おいおい、お前ら! 呑気にしてる場合か? まだ、戦いは終わってないぞ!」
ぬらりひょんの言葉にリンエンたちは残っている妖怪たちの討伐にかかろうとしたが目の前がぐにゃりと曲がり始めた。
「おえ……オレ飲み過ぎたのかな……今日飲んでないと思うんだけどな」
「んなわけあるか! ボクたちにも見えてるんだよ!」
ヒョウガは頼光の能天気な発言にツッコミを入れた。
目の前が真っ赤な光に包まれた。
光が消えて目を開けると恐ろしい光景が現れた。
「へ?」と、頼光のマヌケな声が合図になったかのようにリンエンたちは周囲を見渡した。
広場にいたはずの頼光たちは朽ちかけた火葬場にいた。
不気味な周囲の様子に頼光の顔は蒼白になっていく。
「あはは…………幻覚かな!?」
「幻覚じゃない! 奴等、死に者狂いの反撃に出るつもりだ!」
祈祷師のリンエンが真っ先に気付いた。
(あの時と似ている……)
リンエンは頼光に憑いていた妖を見たときのこと思い出していた。
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