第11話 覚醒

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第11話 覚醒

 リンエンは自分も戦っているというのにヒョウガたちの戦いを横目に見て安心を覚えた。 「ヒョウガたちは大丈夫そうだが……鬼神頼光! なぜ、私の後ろについているのだ! 戦い憎いではないか!」 「だって、ぬらりひょんがいないんだもん!」 「くッ! もしや、奴は妖怪側に寝返ったのか!?」 「え!?」 「そもそも、あやつがこの妖怪たちを連れてきたように見えたが!」 「くそーーーーーーー! あのおっさん! オレを生まれ変わりとか言って騙したな! この刀も偽物だろ! 捨ててやる!」  頼光が刀を放り投げるも刀は頼光の元へ戻ってきた。 「な、なんでーーーーーーー!」  それを見たリンエンは汗を流した。 「どうなっているんだ……」  頼光が刀を放り投げている間に周りを骸骨に取り囲まれていた。 「ひえーーーーーー!」 「く!」  リンエンは(ふだ)を四枚、頼光と自分の周りの地面に放りなげた。  骸骨たちは見えない壁にぶつかって自ら壊れていく。 「これって……」 「結界だ。こちらの体力も消耗するからあまり使いたくないがな……」  しかし、骸骨は止まることなく結界にぶつかってくる。 「ぐッ……!」  リンエンは額から汗を流していた。 「リンエン先生……」  頼光はリンエンの様子を見て、意を決して、刀を鞘から抜き出した。 「頼光……無理するな……」  刀を鞘から抜けきった瞬間、光が勢いよくふき出し、結界を破り、骸骨たちを消滅させていった。  その光はヒョウガとテンマの周りも覆っていった。 「な、なんだ!」 「この光は……」  リンエンたちは眩しさに腕で光を遮ったが、光の中には頼光ではない別の誰かがそこにはいた。  服装こそは変わっていないが髪は長く伸び、目つきは鋭く、だらしなかった頼光の様子が一切感じられなかった。 「き、貴様は誰だ!」  リンエンは薄々気付いていたが、聞かざるおえなかった。  本人の口から聞くまでは。  しかし、その男はリンエンの言葉に答えずに火葬場に向かって歩き出した。 「お、おい……あの腰抜け、どうしちまったんだ……」  「わからん……が、リンエンの(ふだ)(チカラ)ではなさそうだ」  頼光『だった』であろう男は刀を構え、火葬場に向かって振り下ろした。  刀から光の刃が現れ火葬場を真っ二つに叩き斬った。 「なんだあれは……俺でもあのデカいのは斬れないぞ……」  テンマは己の大剣を見て呟いた。 「おい、あれが……」 「破魔之天王(はまのてんおう)だと言うのか……!」  
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