第12話 若者たち

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第12話 若者たち

「……だから言ったろ。破魔之天王(はまのてんおう)の生まれ変わりだって」  低音の声と靴をコツコツと鳴らしながら、ぬらりひょんが現れた。 「おっさん! なんなんだよこれ! だいたいお前はなんなんだよ!」  ヒョウガはぬらりひょんに恐怖を感じながら言い放った。 「俺様の名はぬらりひょん」  ぬらりひょんは帽子を外しながら珍しく小さめの声で言った 「そんなのわかって……!」  ヒョウガの言葉を遮り、火葬場を響かせるかの如く言った。 「妖怪の総大将……破魔之天王(はまのてんおう)の従魔だ!」  リンエンたちはその場で固まった。  が、その空気を壊すかのように、呑気な声が聴こえてきた。 「おーい! みんなーなんでオレをひとりにするんだよー」  刀をずりずり引きずりながら頼光が戻ってきた。 「……さっきのは幻だったんじゃないか」 「別人が来たんだな」  一同は頼光が破魔之天王(はまのてんおう)の生まれ変わりだと信じかけたが、また無かったことにした。 「あー。まだ、長時間は無理か……」  ぬらりひょんはポリポリと頭をかいた。  リンエンたちは呆れていたが、ヒョウガはあることに気付いた。 「なんで火葬場ぶった斬ったのに元の場所に戻れないんだ?」  火葬場はなくなったが、いまだに空も地面も真っ赤な空間にリンエンたちはいた。 「はん! そんなの決まってるだろ? まだ親玉を倒してないからに決まってるだろ」 「親玉!?」  ヒョウガはぬらりひょんに疑いの目を向けたが地面が揺れ始めた。  骸骨たちが現れたときとは違うもっと大きなものだった。 「今度はなんだ!」  火葬場があった場所から巨大な骸骨の手が現れ、そして全身がせり上がってきた。 「なんだ? あの巨大な骨……?」 「『がしょどくろ』か……」 「御名答だ。祈祷師くん」  頼光は膝から崩れ落ち、がしょどくろをジッと見つめていた。 「ちなみに、ここでヤツを倒さないと、ヤツは元の大広場に現れて、街を破壊するだろう」  テンマは何も言わず大剣を構え始めた。 「ほう?」   テンマの構えを合図にしたかのように、ヒョウガもリンエンも構えた。  頼光はいまだにがしゃどくろを見つめていた。 「なかなか見どころの若者たちじゃないか。……1人を除いては」
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