第15話 がしゃどくろの謎

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第15話 がしゃどくろの謎

「さて、こいつの頭まで来たがどうするよ?」 「私たちはテンマのような力は無い。だが、二人がかりならできないこともないだろう」  「そうだな」  「あの、大量に忍具を出す技はできるか?」 「ああ。もう回復した」 「わかった」  リンエンは頭部に太刀を突き刺そうとするも「ガキンッ!」といって弾き返された。  だが、リンエンは冷静だった。 「テンマのようにはいかんか」  リンエンは袂から大量の(ふだ)を出し、それを操り、がしゃどくろの頭部を顔面含め貼りつけた。 「ひゅー。貼りつけんの好きねー」  ヒョウガのからかいを無視し、リンエンは頭部の真ん中に貼りつけた札に太刀を突き刺した。  先程とは違い、今度は太刀が空間に吸い込まれるかのように入っていく。 「ふーん。なるほど」 「ヒョウガ、札がある場所に忍具を当てろ」 「わかったぜ」  ヒョウガは巻物を横にし、それを咥えると、指を組み、目を閉じながら九字を結んだ。 (臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!)  ヒョウガの周りから最初のとき以上の忍具が現れた。 「驚いたな」  ヒョウガが目を開くと同時に忍具たちは札目掛けて飛んで行った。  クナイ、手裏剣の嵐は人間だったらズタズタに切り裂かれていただろう。  札の中にどんどん吸い込まれていく忍具は札を通し、がしゃどくろの中で暴れまわった。  リンエンもヒョウガも口を聞かず、ただ黙って、術を駈け続けた。  どちらも術として優秀だが、それが強ければ強いほど術者の体力を奪う。  がしゃどくろが倒れるかリンエンたちが倒れるかの勝負となった。 「ぐッ!」  ヒョウガは歯を食いしばり続けたせいか巻物から血が流れ始めた。 (ヒョウガ! 無理するな!)    リンエンはそう言いたかったが、それを言ったらヒョウガの努力が無駄になってしまう。  がしゃどくろにヒビが入り始めた。 「ぐおおおおおおお!」   リンエンは叫び、力を込め太刀を突き刺した。  同時にヒビが入った。  ヒョウガの忍具が札から飛び出すと頭部が破裂した。  その勢いに吹き飛ばされた二人だが先程同様ヒョウガがリンエンを抱きかかえ、骨の構造を活かし、地面に着地しようとした。  が、がしゃどくろには左腕がまだ残っていた。  その手がリンエンたちを捕まえた。 「がッ! 頭、破壊すれば良いってわけじゃなかったのか!」  「完全に勘違いしてたようだな……しかし、こいつの動きはなんなんだ?」  がしゃどくろは左腕を上げたまま動かなかった。  リンエンたちはそれをチャンスとばかりに頭部の破壊に集中していた。  がしゃどくろの動きは予測不能だった。  右腕と頭部を失ったがしゃどくろは動き続けていた。
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