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第16話 囚われた三人
右腕を破壊したテンマはすぐにリンエンたちと合流しようとしたが、テンマが破壊した右腕の破片が鎖のようにテンマを縛り付けていた。
「くそ! リンエンたちの武器ではコイツの骨は硬すぎるというのに!」
骨の鎖を千切ろうとするもテンマの力を持ってしても、一向に壊れることはなかった。
ガチャガチャと鎖と戦っているテンマの前を頼光が横切っていった。
「頼光? おい! 近づくな! 今のお前が行っても死ぬだけだ!」
頼光ががしゃどくろの前に立つと、そこから石のように固まり、動かなくなった。
がしゃどくろの顔は頼光の方を見ているように思える。
テンマはその光景が不気味であり、神々しさを感じた。
(なんだ、この感じは……)
◇
がしゃどくろの左手に捕まったリンエンとヒョウガは抜け出そうと試みるも、先程の頭部破壊で体力をほとんど消耗してしまっていた。
「あー。なんでこの展開想像出来なかったんだろう」
ヒョウガは疲れ切った声で弱々しく言った。
「がしゃどくろの動きに騙されたな」
「しかし、こう、捕まったまんまでも何もされないのも困りもんだな」
「がしゃどくろの動きが丸きり読めんな」
二人は言わば宙にぶら下がっている状態だ。
握りつぶす、投げつけるなどのことができるというのにまたしても固まってしまったがしゃどくろにむしろ悩まされていた。
「倒せるかわかんなかったけど、なんだいけるじゃん! って思ったらこれだもんな」
「今度いつ動きだすかわからんな」
もはや、リンエンたちは呑気な会話をし始めた。
「待てよ……こいつ倒さなかったら、元の世界に戻るって言ってたよな」
「あ、ああ」
「このままだと、元の世界に戻っちまうんじゃないか!?」
二人はお互いの顔を見合わせた。
「おい! どうすんだよ! 祈祷師!」
「私に訊くな! それよりも貴様こそ、こういう状況に強いんじゃないのか忍び!」
「予想以上に締め付け強くて指一本動かねーんだよ!」
二人はケンカを始めたが、それもすぐに終わった。
「あーーマジ、どうすんだよー」
「テンマは何をしているんだ」
「そうだ! テンマだよ! アイツの馬鹿力こそ今必要だろ! 右腕破壊してからなんでこっちに合流してこないんだ!」
「いや、合流できない。何かがあったのかもしれない。今の私たちのようにな」
「うっ……確かに……ん? おい、あれ頼光じゃないか?」
「何? なぜ頼光がこんなところに? しかも震えずにいるんだ?」
「刀抜いてるぞ! さっきみたいに変身できないのかよ!」
動かずにいた頼光は刀を鞘に戻し、再び刀を抜いた。
先程、と同じように光が溢れ出し、別人と化した頼光が現れた。
「うおー! 待ってたぜ! 頼光! その変身をよ!」
「破魔之天王か……」
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