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第17話 テンマの忠誠
破魔之天王と化した頼光がテンマに向け軽く刀を振ると、テンマがどれだけ力を入れても壊れなかった鎖が崩れ落ちた。
先程まで力を入れていたテンマは鎖から解放されると膝をついた。
「はぁ……はぁ……」
テンマは頼光を見上げる形でその姿を観察した。
(破魔之天王を守るのが俺たちの役目と言っていたが、むしろ逆ではないか……いや、頼光を守ることが破魔之天王を守ることに繋がるというべきか)
頼光の身体を媒介にして現れる破魔之天王。
それは、頼光の死が妖怪への敗北と繋がっていた。
(妖怪討伐なんて仮の仕事……俺たちはとんでもないものを背負わされたな……)
テンマは大剣を掴み、頼光であり破魔之天王の前にいき、膝を着いた。
「破魔之天王。私は貴方に忠誠を誓います」
テンマは破魔之天王に仕えることを誇りに思った。
妖怪を封じた伝説の人物を前にして、何を迷うことがあろうか。
テンマはこのときを待っていた。
自分より強い主を。
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