第18話 覚悟

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第18話 覚悟

 頼光はリンエンたちが捉えられている左腕に向かって刀を振り下ろした。  テンマのとき同様、骨が崩れ落ちていく。  リンエンもヒョウガの動きになれたのかヒョウガに抱きかかえられることもなく、自ら地面に辿り着いた。 「リンエン、覚え良いな。もうボクがいなくても良い感じか?」 「今回は上手くいったが、次はわからんからな。そのときは頼むかもしれん」   ヒョウガは頼光の肩に腕をまわした。 「お前ならやると思ってたぜ!」 「まったく、都合の良いヤツだ」  しかし、ヒョウガがいくら頼光に話しかけても返事はなかった。 「うーん。破魔之天王(はまのてんおう)になると全く話さなくなるな」  ヒョウガは頼光から離れ、頼光を観察した。 「貴様ら! 何をしている!」   テンマの声が聴こえてきたがその声は怒りに満ち溢れていた。 「な、なんだよ。そんなキレるなよ」  「破魔之天王(はまのてんおう)様に気安く近づくな!」  テンマの言葉にリンエンとヒョウガは己の耳を疑った。 「おいおい、お前、催眠術でもかけられちまったのか?」   ヒョウガは半笑いで言った。 「俺は自らの意志でこの方に仕えるに決めたんだ」  テンマの瞳は決して揺るがない覚悟を感じさせた。 「何があったか、知らないが、お前の意志は認める。しかし……」 「ボクたちはそれに付き合うつもりはないぜ」 「勝手にするがいい。だが、俺は、命にかえても破魔之天王(はまのてんおう)を守ることを誓った」 「ああ。そうかい。勝手しな」  自分の周りで繰り広げられている口喧嘩に頼光はそれを制するかのように、手を上げた。 「なんだよ。頼光」  頼光の視線はがしゃどくろに向いたままだった。 「まだ、こいつは倒れされてないってわけか」 「どうやら完全に砕かないといけないらしいな」
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