第19話 穏喪羅忌《おんもらき》

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第19話 穏喪羅忌《おんもらき》

 がしゃどくろへ最後の戦いに向かおうとしたら、目の前にボロボロになったぬらりひょんが現れた。 「ぬらりひょん!?」 「どうしたんだよ! ボロボロじゃないか!」  ぬらりひょんは倒れ込みながら言った。 「このがしゃどくろは本体ではない……グッ!」 「本体ではない……?」  突然、周囲の空気が重苦しくなった。 「なんなんだ。これは……」   頼光を除いた三人はその空気を吸わないように口と鼻をハンカチなどで覆った。 「毒ガスではなさそうだ」 「一体これは……」  「妖気だ」  ずっと黙っていた頼光の口が動いた。 「出てきたらどうだ。集合霊。穏喪羅忌(おんもらき)」  頼光は淡々と言った。  激しい地鳴りと供に地面からトカゲの頭部を持った巨鳥の姿の妖怪が出現する。  破壊された骸骨たちがその妖怪を讃えるかのように吠えだした。   「お前ら……親玉のお出ましだぜ……」    息を切らしながらぬらりひょんは何とか立ち上がった。 「ぬらりひょん! 貴様はなぜ、破魔之天王の味方をする! 同じ妖怪ではないか!」  穏喪羅忌(おんもらき)は叫んだ。  その声は怒りと共に悲しみが混ざっていた。 「なんでなんだろうな……四百年近く前のことなんて忘れちまったよ……でもな、この方……お前らにはない立派な方だってのはいつの時代も忘れたことはないぜ」  テンマはぬらりひょんに肩を貸した。 「ああ。俺も同感だ。破魔之天王は再び世界を守ってくださると確信した」 
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