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第20話 悲劇の始まり
穏喪羅忌は腹が膨れ上がるほど息を吸うと勢いよく炎を吐き出してきた。
破魔之天王が刀を穏喪羅忌に向けると炎がわかれていく。
穏喪羅忌はそれでも余裕の表情を見せていた。
「ハッ! そんな人間に取り憑いた破魔之天王に妖怪様が負けると思っているのか!」
がしゃどくろの胸に穏喪羅忌は吸い込まれていった。
がしゃどくろの破壊された部分から新たな腕と頭部が出現。
それは骨ではなく筋肉や血管がついた人間の腕だった。
頭部は目がくぼみ、口からは緑の液体がボタボタと垂れ、化物の姿そのものだった。
その醜い姿に三人の討伐者は絶句した。
「妖怪は皆、俺みたいに男前じゃないからな……」
ぬらりひょんは軽口を叩くが余裕の表情ではなかった。
「醜いか? お前らにはそう見えるか?」
がしゃどくろ『だったモノ』から声が聴こえてきた。
「……心の汚れた人間共がこの姿を醜いというか。魂まで穢れた人間が……!」
妖怪は嘆きの叫び声を上げた。
それは人間に対する怨みを込めた叫びだった。
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