【言の葉の欠片《1》】

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【愛車】 初めて自分が働いた給料で買った軽自動車。 安月給だったけど頑張って貯金して買った軽自動車は、よく頑張ってくれた。 年数が経つ事に、あちこちにガタがきて、その度に車屋さんから車の買い替えを勧められたけど私は、この軽自動車を愛していたから、どんなにお金がかかっても整備して17年という月日を共に過ごしてきた。 でも…… 遂にオイル漏れが酷くなり手の内ように無くなるまで酷くなり、私の愛車が言った。 『もう僕は寿命が来たんだよ。お別れの時がきた。今まで、ありがとう!!』 私は泣きながら長年、共に過ごしてきた愛車を手放した。 そして新しい軽自動車を買った。 私がこよなく愛した軽自動車とは違いナビもついているし運転中も静か。 確かに便利だしバックモニターもついていて楽だけど、私は前の軽自動車の方が好きだ。 自分の目と耳で車の声を聞きたい。 エンジンの音ひとつで車の調子が分かる前の愛車が好きだった。 いつか私は新しく買った軽自動車を好きになり声を聞ける日がくるのかな?
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