【言の葉の欠片《1》】

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【風の行方】 僕は幼い頃から暴風にさらされていた。 躾という名の暴力の風。 無知であるが故のイジメという、これまた暴力の風。 みんなが僕のことを嘲笑う。 笑う。 笑う。 笑う。 だから僕は、それらの風に抗う為に………… あらゆる武器と防御服を手に入れる為に………… 必死になって勉強した。 そしたら途端に風向きが変わった。 妬みという風が僕を取り巻いた。 そして僕は、その風と戦い続け疲れ、全ての武器と防御服を投げ捨て深い眠りにつこうとした。 その時である。 ふわりと優しい風が僕の頬を撫でた。 僕は恐る恐る、その風の行方を探してみた。 そしたら…… 素晴らしいハーモニーを奏でる風が……風が……風が!! 今まで僕が出会ったことのない風が僕を迎え入れてくれたんだ。 この風に身をかせたい。 今日、僕は、そう思ったんだ。
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