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小さな秘密
次の日、雑貨店に立ち寄った。買ったのは、こないだ沙也加がぼくの方を見て「いいな~、それ」と言ってた消しゴム鉛筆。芯のところが消しゴムになっていた。
翌日の昼休憩、みんなの目を盗んでこそっと、
「これ、お返し」
と沙也加に渡した。
沙也加の殊勝な反応に、昨日の自分もこんな感じだったのかもと思った。
「ほんとに…?」
こくんと頷いたら急に照れくさくなって逃げるようにその場を離れた。
放課後、運動場に遊びに行こうとしていると、沙也加が近寄って来て、
「消しゴムのこと、めぐみに言ってもいい?」
と尋ねた。
ぼくは、またこくんと頷いて、それ以上反応できなかった。
お互いこれまでと違うこの変なモードに戸惑っていた。でも、今まで知らなかった何かが二人の間に生まれつつあるのを感じていた。
ぼくは、沙也加と違ってこのことを男友だちには言わなかった。
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