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Villain For Villain10
そして決勝戦も終わりまだ興奮冷めやらぬ状態のままボクは帰路についた。これまでただただ一日を消費していたボクだったが、何かを見てこれほどまでに興奮したのはいつぶりだろう。いや、ここまで胸を熱くさせられ活力が泉のように湧いてくるは初めてかもしれない。今ならサッカーや野球などを見て大興奮している人達の気持ちがわかる。
「Villain For Villainか」
ボクは家に帰ると真っ先にPCを起動してVillain For Villainを購入した。そしてダウンロードを待って夜にプレイすることにした。
こんだけ時間が経ったのにまだ冷めやらぬ興奮を胸に秘めながら早速プレイしてみる。あれだけのプレイ、日本トップクラスのプレイヤー同士の試合を見たせいか自分が最強だと言わんばかりの自信に満ち溢れれいた。
だが現実はそう甘くない。今まで軽く遊び程度でしかサッカーをやったことが無い人がプロの試合を見たからといって、いきなりプロに近しいプレイができるわけではない。それは全てにおいて同じで例外なくボクも自信たっぷりにカジュアルをしたけどその自信ごとボコボコにされた。
「10戦して0キルかぁ。しかも特に何かしたわけでもないし。はぁー」
理想と現実の圧倒的な落差に思わず溜息を零す。キルどころか操作すらままならず正直言ってBot以下だった。それを10戦で、いや。心の底では初戦から感じていた。
「でもそうだよな。今までFPS自体そんなにやったことないし……。――よし! まずは基礎中の基礎から頑張ろう」
どうやら今日貰った興奮と活力は凄まじいらしくまだやる気は充分。
「まずは操作とゲームを覚えよう」
そしてボクは楽園のような夢を見ていると叩き起こされて現実に戻された気分のままPvEのモードを始めた。どうせ一人だしひとつずつちゃんと確認していく。
「えーっと、まずはキャラクターはなんでもいいと。キャラによって何か差があるわけじゃないのか。ここはお楽しみ要素ってやつね」
ヴィランのソロPvEはとりあえずキャラと装備選択だけらしい。武器やアタッチメントアーマーなどを選択するがアーマーは強度によってスピードか変わるようだ。サブはハンドガンのみだがそこでも種類がある。それと武器のアタッチメントは事前に付けといた方がよさそう。
PvPではアーマーは全員分あるけど武器と装備品は共有でチームでの数が限られてるらしい。だけどとりあえず今のボクがすべきは操作に慣れること。
その日はひたすらPvEをした。結果は一番弱いCPUに勝ったり負けたり。五時間ぐらいプレイしたけどあまりうまくなった気はしない。
だけど、どのキーを押せばどのアクションが出来るかは大分覚えた。覚えただけで上手く操作はまだできないけど。だけど一つだけ確実なのは、
「思った以上に楽しいなこのゲーム。思った以上に難しいけど」
そして次の日、授業を受けてる時もお昼を食べている時も朝からずっとボクの頭を支配してるのはヴィランだった。学校が終わるとヴィランしたさで真っすぐ迅速に家に帰り夕食までプレイ。そしてまたプレイするまでの間、ヴィランに関する動画を漁った。
それからしばらくの間は平日は学校が終わってヴィラン、休日は一日中ヴィラン。まさにヴィラン漬けの日々を送った。
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