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チーム2
二学期が始まってもヴィラン生活は変らなかったが夏休みとは違い頻繁に一時間程度の勉強が入り込む。そのおかげで中間は何とか点を取ることができ難は逃れた。
ランクを始めてからプラチナ二に辿り着くまでに十ヶ月、二シーズンと二ヶ月ぐらいかかってしまった。このゲームが難しすぎるのかボクにセンスが足りないのか。恐らく理由は後者だろう。一シーズン四ヶ月のシーズンが終わればランクもリセットされやり直しになるのも多少なりとも影響してるのかもしれない。
でもそれを差し引いたとしてもプラ二までの道のりは険しく、全然勝てなかったりキル出来ない時もあったし、暴言も言われた。チャットとかvcとかで。自分の下手さにイラついてしまう時とかもあったけど、だけどヴィランは楽しかったしなにより思い通りにプレイできた時、クラッチできた時の興奮は忘れられない。悔しいけど次こそは、嬉しいからもっと。
そんな感じでヴィランはボクを夢中にさせた。
「あーあ。また負けたよ。はぁ。ここ数試合負けばっか」
するとある日の試合終了後、Gチャットに【ゲーマー向けのチャットアプリ(ゲームと連動しててゲームからメッセージを飛ばすことができる)】メッセージが届いた。
『急なメッセージすみません。今さっき味方でマッチした者なんすけどよかったら一緒にプレイしないっすか?』
それはパーティーの誘いだった。
「パーティーか。やりたいけど……」
友達が居ないボクにとって誰かと一緒にゲームをするというのは少しハードルが高い。だけどプラ二ら辺から敵もパーティーが増えてきたし勝ちづらくなってきたのも事実。
「こういう時、コミュ力欲しいな」
でもあんまり悩んでも無視したと思われるだろうし。時間的にはそんなにだけど頭の中では色々なことを考えた結果。この人と一緒にやってみることにした。緊張とか色々あったけど何より勝ちたいし。
そしてメッセージに返信をした後にその人をGチャットに誘う。
「初めましてー」
聞こえてきた第一声は意外と若いく陽気そうな声。
「は、初めまして」
ドクドクと緊張に鼓動する心臓を感じながら少し震えた声を出してしまった。口から心臓が飛び出しそう。改めて自分は人と話すのが苦手だと感じた。
「俺もソロでやってたんすけど全然勝てなくて。あっ! 俺はカズっす」
「ボクは……。なおって言います」
「よろしくー」
「よろしく……。お願いします」
それから二~三時間ぐらいランクを回して思ったのはカズさんは声の通り陽気で良い人だということ。にしてもパーティーを組んでるとミスとかがソロ以上に申し訳ない。
だけど同時に誰かとやるって楽しい。
「楽しかったっす。あざした」
「こっちこそ……。楽しかったです」
「良かったらまたやりましょ」
「――はい! 是非」
「じゃあフレ申するっすね」
カズさんとフレンドになりこの日は終わった。
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