Villain For Villain3

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Villain For Villain3

 そして大会当日。寝坊してしまって決勝戦にギリギリ間に合う形で僕は会場に着いた。会場はメインステージとその観客席の他に大きなモニターとその前に作られた観客席に分かれていた。  ボクは遅れて来たこともありもちろんモニターでの観戦。だけどモニター前の観客席は小さなテーブルと椅子があって飲んだり食べたりできた。 「おぉー。すごっ」  モニターの前に用意された観戦スペースを囲むように様々な屋台が並んでいてその光景はまるでお祭りだった。思った以上の盛り上がりに思わず声が漏れる。  だけどこのまま立ち尽くしている訳にもいかないのでとりあえず飲み物と何か食べる物を買って適当な席に座った。周りの大人たちはビールとか飲んでいたけどボクはもちろんお茶。  するとボクが座るのを待っていたかのように音楽が鳴り出しモニターにムービーが流れ始める。コンサートのように音が響き渡るそれは簡単なチームの紹介動画。丁度今から始まるようだ。 『数々の大会を優勝しプロでも活躍するその実力は本物! そして今大会を制すれば名実共に日本一。さぁ、舞台は整った。この大会の大本命よ。皆の期待を背負い王冠に手を伸ばせ! OGRES FACE GAMEING!』  叫ばれたチーム名と共にモニターにはチーム名とロゴが大きく表示され、五人の選手が映し出された。中央と右側二人は男性選手、左側二人は女性選手。 「カッコいいなぁ」  それはこのゲームに関するチームは全く知らないボクの胸さえも躍らせ、登場だけで周りのファンを熱狂させた。王者。その言葉がよく似合うチームだった。  そしてチームメンバーが全員登場すると次はもう一チームの動画が流れ始める。その動画はチーム紹介というよりはこの大会でのダイジェスト。 『それはこの大会の為、いや。この決勝の為だけに作られたといっても過言ではない。彼らの目的は優勝? いや違う。打倒! OFG! 最強の鬼の首を取る為に集まった精鋭は王冠を奪い去ることができるのか!? 桃太郎!』  その後に先ほど同様、五人の選手とチームロゴが表示された。その並びは中央に男性選手とその両側に女性選手、一番外側に男性選手と女性選手。 「なるほどー。鬼を倒すから桃太郎か。本当に対OFGのチームじゃん」  最強を倒す為に精鋭が集まったという展開に自然と心躍る。 『さぁ。各チームが出そろいました。いよいよVillain For Villain Japan cap決勝戦が始まろうとしています。泣いても笑ってもこれが最後の戦い。勝者が日本一の称号を手に入れます。実況は(わたくし)だ~ぼん、』 『解説はTPが行いまーす』 『よろしくお願いいたします。って言ってももういつメンですからね』 『そうですよね。ありがたいんですけどね。代わり映えはないですよね』 『まぁ今日もこの二人で頑張って盛り上げていきたいと思い、ますっ! さぁ。今回の決勝戦は1ラウンド3分、7ラウンド先取、6:6からの延長は2ラウンド差をつけるか21ラウンド目を先取した方が勝利。3ラウンド攻守交替とBO3なっております』  すると画面外のスタッフから実況の人が何かを伝えられた。 『――えー、皆さん。少々お待ちください。準備がもう少しかかるようです』  何かあったんだろうか?
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