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Villain For Villain4
『いやぁ、それにしても今回はとんでもないドリームチームが出場してましたよね』
『そうですよね。こういうのもアレですが、各チームからこれだけの選手を集めてチームを組むというのは卑怯な気もしますけどね』
『それだけOFGが強いってことですかね』
『ちなみに試合前のインタビューでK.A.Kのzkt《ぜくと》選手は桃太郎結成について、「ここら辺で強引にでも天狗になったあいつらの鼻を折っとかないといけない」と答えたそうですよ』
『そこに私情が混じっているのかどうかは分かりませんが、最近特に勢いに乗っているOFGをここら辺で失速させたいんでしょうね。今後の大会のためにも』
『恐らくそういうことでしょう』
『あれ? そう言えば普段zkt選手が率いるK.A.Kは今回の大会に……』
『出てないですね』
『ですよね』
『実はさっき会場でメンバーと会ったんですけど彼ら普通に観客でしたよ。その時に聞いたんですけど……確か、出場してzkt選手のチーム、桃太郎ですね。に勝ったらzkt選手がキレるから出ないって笑ってましたよ』
『相変わらず物凄い自信ですね』
『彼らが言ったら冗談か分からないところがまたスゴイんですよ』
楽しそうに笑う実況と解説の人だったが画面外のスタッフから何かを聞くと少し姿勢を正いした。
『――さぁ準備が整ったようです。ついにこの時がやってまいりました。日本一の王冠を手にするのは最強チームかその首を狙う精鋭集団か? 折角ですので会場の皆さん、画面の向こうの皆さん全員でいきましょいう。準備はよろしいでしょうか? では。――Villain For Villain Japan cap決勝戦、OGRES FACE GAMEING対桃太郎。試合開始です。グットラックハブファン』
それに合わせメインステージの観客だけでなくボクの周りも『グットラックハブファン』と息の合った声を出した。ボクは乗り遅れてしまったが、ついに決勝戦の幕が上がった。
最初はOFGが選択したマップらしい。どうやら攻撃側と防衛側に分れた爆弾モードでOFGが攻撃で桃太郎が防衛。このゲームのセオリーどころかどういう風に展開されていくのかも分からない。だけど雰囲気も相俟ってか胸が高鳴る。
『準備時間が終了し第1ラウンドが始まりました。攻撃はOFG。防衛は桃太郎。おぉっと! 何と! 決勝戦のファーストラウンドでOFGまさかの開幕ラッシュ! 目標へものすごい勢いで侵入していきます! ――これにはさすがの桃太郎も不意を突かれたか次々と落とされていきます!』
ラウンドが始まった途端に走り出したOFGが2キルを先取して、1キル取り返され、2キルを取り、2キル取られ、最後のプレイヤーを倒したところでラウンドは終了。1分も経たぬうちのあっという間にラウンドを取ってしまった。
周りは驚きを隠せないといった人と興奮に声を上げる人が半々だったがすぐにOFGファンらしき人達の歓声が会場を揺らす。それどころか最初に桃太郎へ声援を送っていた人らも感心した様子だった。
『いやぁー。開始早々のラッシュですよTPさん』
『開幕ラッシュをするそのメンタルと自信。さすがOFGといったところですよね。強引に流れを持っていきました』
『桃太郎としてはこの流れに乗らずどう自分たちのペースでプレイするかが今後のカギになってきそうです』
『そうですね。ですがどうでしょう。ボク的には今のラッシュが彼らに火を点けたと思いますよ』
『さすが決勝戦! 最初から非常に面白い展開になっていまいりました』
解説の人が言っていた通り2ラウンド目は桃太郎が取り返した。ボクがこんなことをいうのもなんだけどこの勝負、ここから本番って感じだ。
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