Villain For Villain5

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Villain For Villain5

 それからも決勝戦という場に相応しい激戦が繰り広げられた。キルを取っては取り返しラウンドを取っては取り返す。それは全くこのゲームを知らないボクでさえ夢中にさせ、胸の奥を熱くさせてくれる試合だった。  そんな戦いが続き7対4で一マップ目はOFGが先取。まだ一マップしか終わってないのに、ボクは映画を一本見たような昂揚感で満たされていた。気づけば口を半開きにして夢中でモニターを見上げている。 『1マップ目から繰り広げられた激戦を制したのはOFG! TPさん。激戦をOFGが取ったわけなんですが勝因はやはり最初のラッシュですかね?』 『いやぁ、その後のラウンドはしっかり取り返して何とか体勢を立て直したと思うんですけどね。やはりOFGのピックマップというのが最後の一手を決めた気はしますね』 『ですが次は桃太郎のピックマップなのでここで桃太郎は何としても取り返しておきたいところですよね』 『そうですね。ここを落とすと0:2でマッチポイントですからね多少なりともメンタル的に追い詰められると思いますね』 『では次は桃太郎にとっては分岐点になるかもしれない第2マップです』  最初のマップ同様に二マップ目も取っては取られの激しい戦いになった。両者一歩も譲らない戦いだったが意地を見せるように桃太郎が5対7で勝利。これで1:1となった。  それから3マップ目のランダムマップをOFGが取り先に王手をかけるが次で桃太郎が取り返し2:2。勝負は最終マップにまで持ち込まれた。  どっちが勝ってもおかしくない。それはボクだけじゃなくて観客全員が感じていたはず。  こういう時、選手は何を考えているんだろう。ふとボクの頭をそんな疑問がよぎった。自分のチームが勝つと固く信じているのかそれともボクらと同じくどちらが勝ってもおかしくはないと思っているのか。それとも何も考えていないのか。  そんな状況を味わったことのないボクには想像すらつかない。 『さぁいよいよ最終マップ。あのOFGがこれほどまでに苦しめられると誰が予想できましたでしょうか?』 『本当にスゴイ戦いですね。見ているだけで汗をかいてきますよ。でもあれだけのメンバーが揃った桃太郎でやっとここまで追い込めると考えるとやはりOFGは恐ろしいですね』 『個人的にはこの大会のOFGはいつにも増して仕上がってるように見えますね』 『多分、調子的にも絶好調なんでしょうね』 『さぁ、そして運命の最終マップが始まろうとしております。泣いても笑ってもこれが最後』
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