Villain For Villain7

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Villain For Villain7

『ここで桃太郎が一人落とされ両チーム残る選手は一人ずつ。勝負の行方はOFGのDB選手、桃太郎のrin選手に託されました。残り時間的にも解除デバイスを拾い設置する時間はありません。これは1on1になるでしょう』 『最後の最後に師弟対決とはドラマがありますね』 『OFG最強のエイム力を誇るDB選手か? それともその遺伝子を受け継ぐ唯一の弟子rin選手か。時間は残り30秒』  爆弾Aで待ち構えるrin選手に気づかれないようにDB選手は少し時間をかけて相手の場所を探っていた。  だけどどっちも相手の場所は分かってない様子。残り25秒。しゃがみで近づくDB選手は爆弾Aの後ろで別の方向を警戒しているrin選手の横を突けそうだった。 『おっとこれはrin選手気がついていない。このままDB選手が目視すれば勝負決するでしょう』  そのまま終わるかと思われたが音なのか何なのか分からないがDB選手が見つけるより少し先にrin選手が彼の方を向き瞬時に爆弾の後ろに隠れる。数発の被弾をしたもののキルとまではいかなかった。 『残り20秒を切りました。この状況、DB選手の方が若干不利か?』  実況の言葉を最後に会場全てが緊張一色に染まり静まり返った。それは数えきれないほどの人が集まっているとは思えないほど静かで、映画館のように皆が真剣な眼差しでモニターを見つめている。  だが映画館と違いここには張り詰める緊張感があり些細な物音ひとつ立てることすら憚れた。それだけでなく唾を飲む音でさえも、強くそして速く脈打つ心臓の音でさえも躊躇する程に静寂と緊張が会場を支配していた。  皆が見つめる中、DB選手はオブジェクトを利用し揺さぶりをかけつつ撃っていく。rin選手も爆弾と隣接するオブジェクトを使い不規則かつ至る所から顔を出しては撃つ。  そして残り8秒。タイムアップを待っているのかrin選手はオブジェクトに隠れる。一方、DB選手はスコープを覗きながらオブジェクトを離れた。距離的にも裏にいるrin選手を倒せるはず。モニターにはそのDB選手の視点が映し出された。  どこから出て来るか出て来るかすら分からないrin選手を警戒してか時折、照準が動く。その緊張感はプレイしていないボクの手にも汗を滲ませた。  爆弾とオブジェクトを中心に動くDB選手もrin選手が時間経過を待っていると読んだのか照準を側面へ向けしゃがみの高さにする。  残り3秒。その時。爆弾とオブジェクトで出来たL字からrin選手が顔を出した。角度的にも爆弾に隠れ露わになっているのは顔の3分の2程度。隠れ続けると思わせて最後の勝負にでたのだろうか?  だが、ボクが出てきたと認識している最中、DB選手の照準は既に斜め上に移動し始める。
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