Villain For Villain9

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Villain For Villain9

『この会場、放送を見ているほとんどにとってこの光景は予想できたかもしれないけど。こんな決勝戦は誰も予想してなかったんじゃないかな』 『そうですね。厳しい戦いでしたが何とか勝つことができてホッとしてます。それに彼らが桃太郎というチームで出場していることをこのファイナルが決まってから知ったのでその時は驚きました』 『個人的には最初から宣戦布告でもしてたのかと思ったよ。SNSのDMとかでね』 『いえ。残念ながら内緒にされてました』 『ということは対策とかは全くしてなかったってことだよね?』 『そうですね。なのでこのファイナルでの彼ら試合と予選での試合を昨日は沢山見ました。あとは個人のクセなんかの特徴をチームで確認したぐらいですかね』  それなのにあれだけの試合をするってやっぱりこのチームは物凄いのかもしれない。突然の逆境も撥ね除けるなんて主人公だな。 『それじゃあ、ある程度厳しい戦いになることは分かってたわけだ』 『はい。恐らく彼が上がって来るだろうとも思ってました』 『本当は途中で負けてほしかったんじゃない?』 『否定はできないですね』  その返しに司会は笑みを零す。 『さぁ! 続いては優勝を決めた我らがDB選手に話を聞こう』  司会は観客席を向きながらKnbee選手の隣に立っていた高身長の大人しそうで穏やかそうな顔のDB選手の前に進んだ。 『最後の1on1は見ているこっちも手に汗握ったよ。実際にプレイしてた率直な感想は?』 『緊張はしてたんですけど正直、あんまり覚えてないですね』 『それだけ集中してたってことだね。さて、この1on1は優勝もかかってたんだけどその他にもドラマがあったと思うのは僕だけじゃないはずだ。なんだって最後の最後、優勝を決める1on1が師弟対決だったんだから。そこに関してはどうかな?』 『確かにrin選手がFPSを始めたての頃によく一緒にプレイはしてましたが自分は何も教えてないので師匠なんて偉そうなものではないですよ。ですが彼女がよく知る仲で、強いことも知っているので個人的にも負けたくはなかったです』 『なるほど。その気持ちが最後のとても素晴らしいエイムを生んだのかもしれないね。これぞDB! っていうプレイだったよ』 『ありがとうございます』 『それではVillain For Villain Japan cap。見事優勝を果たし名実共に日本一の座に輝いたのは、OGRES FACE GAMEING! 彼らに大きな拍手を!』  間違いなく素晴らしい戦いをして勝利を収めたOFGへ会場中だけじゃなく画面の向こうからも大きな拍手が送られたはずだ。
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