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頭から、芽が生えた。
午前7時45分。
洗面所で寝癖を直していた時、指に触れた〝それ〟を、最初は、ベッドのそばに置いている観葉植物の葉が乗っかっているだけだと思った。
けど、払っても落ちないし、なんなら引っ張ると痛い。
鏡で見ると、頭頂部から2枚の葉っぱが、ニョキッと生えている。
完全に私の体の一部と化しているらしく、頭皮との繋ぎ目もなさそうだ。
スマホで検索しても、情報はなかった。
【頭 芽 病院】でも、【頭 芽 対処法】でもダメだ。
何もわからないままでも、学校をサボるわけにはいかないし、夕方からはバイトだってある。
どっちも帽子やフードを被ってはいられない。かと言って、ショートヘアの私は髪型で誤魔化すのも難しかった。
片手にスマホ、もう片手にヘアスプレーを握ったまま、洗面所で鏡と睨めっこしていると、ぼさぼさ頭で起きてきた兄に「邪魔」と足蹴にされた。
私は慌てて両手で頭をガードしたが、普段から眠そうな目をさらに眠そうに細めた兄は、私の頭を見下ろして、ムカつくヤツのお手本みたいに鼻で笑った。
「もうハゲたか?女子高生」
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