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どうやら頭の芽は、私にしか見えないらしい。
パパやママにも入念に見てもらったけれど、何もついてないよと笑われるだけだった。
「最近は物騒なんだから、変な人に間違われないように気を付けなさいね」なんて、忠告される始末だ。
うちの家族だけじゃなく、他の人には見えないのだとしたら、一応は普段通りの生活を送れる…かもしれない。
不安を抱きながらも、私は学校へ向かうことにした。
バス停に行く途中、何人もの人たちと擦れ違ったけれど、私の頭を指差したり、不審そうに見てくる人はいなかった。
やっぱり、他人には見えないようだ。
この分なら、学校でからかわれることもなさそうだ。
頭から植物が生えてるなんて、絶対に誰にも知られたくない。
万が一にも、愛しの竹原くんに知られた日には、私は血を流してでも頭の芽を引っこ抜くことだろう。
乙女心とは、そういうものなのだ。
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