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アルコールが匂う吐息も、まったく嫌じゃなくて。
いや、甘美な気持ちにすら、なってしまって。
酒ではなく、田所に酔わされている自分を必死で奮い立たせた。
「こんなこと、するつもりなかった。でも、あなたが……あんなことを言うからいけないんだ。別の女と付き合えばいいなんて。俺が好きなのは、あいつじゃなくて、あなたなのに」
アルコールの匂いが混じった熱い吐息をつきながら、田所はそう告白した。
だめだ。頭がくらくらする。
意識とは別のところで、身の内から喜びがこみ上げてくる。
想いを寄せている相手からの告白。
これが10年前だったのなら、なんのためらいもなく、彼の胸に飛び込めばいいだけだったけれど……
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