376人が本棚に入れています
本棚に追加
……仮にも、自分が現在進行形で付き合っている女に向かって、よくそんなことが言える。
こんな無神経な男だったっけ。
ちょっと呆れたけれど、まあ、亘も本気で言っている訳ではなく、ありえないことと、たかを括って、軽口を叩いているんだろう。
目くじらを立てるのは大人げない。
わたしも軽口で応酬することにした。
「バカ。あるわけないでしょう。それにその発言、完全にアウト。大企業ならセクハラで懲罰委員会にかけられるわよ」
亘は口の端を少し引いて、かすかに笑みを浮かべると、人目につかない応接室なのをいいことに、わたしの耳元に唇を寄せ、囁いた。
「じゃ、個人的に罰してもらおうかな。今夜」
最初のコメントを投稿しよう!