2・クライアント

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「えっ……二日続けてなんて、大丈夫なの?」 「ああ、うちのやつら、泊まりがけでディズニー行ってんだよ、友達親子と。学校休んで」 「そうなんだ」  亘は共犯者めいた眼差しでわたしを見つめると、軽くキスして、一足先に出ていった。  その背中を見送りながら、わたしは両手で頬をぱんぱんと叩いて、緩んだ表情を仕事モードに切り替えた。  今日は、朝までいるんだろうなと思っていた。  奥さんもお嬢さんも留守だというから。 ***  でも……  いつものようにわたしの部屋でテイクアウトの食事を済ませ、シャワーを浴びて、ベッドで抱き合って……  そして……  いつもの時間に、亘はやはり帰り支度を始めた。 「帰るの?」 「ああ、普段と違うことをすると験(げん)が悪そうだからな」  なんだ……
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