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「じゃあ」
「ん……気をつけて」
喉まで出かかった不平の言葉を呑み込み、わたしは亘を送り出した。
いつものように煙草を吸いながら、なんとなくもやもやする気持ちをもてあましていた。
こんな機会、めったにないんだから、泊まっていけばいいのに。
とにかく慎重な性格なのだ、亘は。
たとえ1%であろうと、リスクがあると思えば、犯さない。
今日の場合は、奥さんにバレて、揉め事になるリスク。
彼が以前勤めていた、広告代理店の上役のお嬢さんだった奥さんは、よほどのんびりした性格なのか、わたしの事に気づいてないらしい。(そう思っているのは、亘だけかもしれないけど)
彼はジム通いを日課にしていて、うちに来た日も24時間営業のジムに寄ってから帰る。
体型維持と証拠隠滅の一石二鳥。
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