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いつもの旅立ち
命令がくればそれに従う
そうすればずっとヒーローのまま
勇者の血筋に生まれたシュウは、自由気ままに過ごしていた。彼の家系は代々勇者であり、彼の父も若い頃は何度も人々を救ったらしい。
そんな彼らの血の不思議な所が、助けを求める人が居ると天からの声がかかるということ、そして旅に出たら苦労もなくその問題が解決している面である。
それが勇者の奇跡らしい。
また天の声がかかったようだ。
シュウの頭に「助けて」という声が響き、場所がどこか、という事もも瞬時に感じる。
そして、父親は神からの授かりだと言っていた屋上に掛かっている鐘の音が響く。
「おい、準備はできているか?早く行くぞ、お前の助けを待っている人が居るんだ」
その鐘の音が鳴るなり自宅で装備を固めた、賢者であり幼なじみのコウが準備万端の様子で扉の前から声をかけた。
「はいはい、俺が旅に出れば問題ねーの」
シュウはボサボサの髪のまま軽装で家を出る。
「いってきまー「俺だって、今でも出来るんだからな……」」
シュウは父親に声をかけるが当のその父親はブツブツと独り言を呟いていた。もう何年もそんな調子だ。特に気にせずシュウは家を出た。
旅の途中、シュウは剣を肩に掛けながら
「なんでお前はそんなに真剣なわけ?俺が出たら勝つんよ?」
実力は本物だが、いつもと同じように村人の危機を軽んじているシュウに呆れながら
「勿論、お前はいつも特別な力で解決しているがその後の村のために村人たちでも対策できる方法など考えて助けられるようにしなければ本当に皆の為にならないからな」
「はいはいー、まぁ困ればどーせまた俺に声がかかるんだし?勝手にどうぞ」
シュウは、空を見上げながら鼻歌混じりにコウの後ろをついていった。
2時間ほど無言で二人は歩いていた。
「ちょっと俺はここで休憩してるわ。まぁヒーローの登場を心待ちにしといてくれ」
シュウは助けを読んでいる村まであと半分というところの洞窟で剣を降ろし、寝始めた。
「お前が勇者なんて信じられん。特別な力はなくても俺は一人でもいくぞ」呆れた表情を浮かべ、早足で村へ向かった。
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