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誰しもが一度は、あの頃に戻りたいと考えたことがあるだろう。 あの頃は幸せだった。そして、それが当たり前だと思っていた。 あの頃に戻れるなら、まず愚かな自分に言い聞かせたい。 「その幸せは、もう来ないんだよ」 もう、何年前のことだろう。 私は、いつまで彼に執着するのだろう。 弱い雨が傘に当たって、軽やかな音が弾ける。 土が混じったようなひんやりとしたこの香りが嫌いだ。 胸が苦しくなる。 でも、本当はこの香りが好きだ。 なぜ彼との思い出はいつも雨なのだろう。 雨だけが、あの頃のまま変わっていない。 だから、雨は大嫌いだ。 今思えば、小学生なんて子供だ。 だけど私は、小5の頃、初めて本気の恋をした。
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