1 嫌悪の街

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 辺りを見渡してみる。  あのとき、バス同士が辛うじて擦れ違うだけの幅しかなかった砂利道は、反対側の小川を越えて拡張され、アスファルトで舗装された。暗渠化された小川は、道路下の暗闇に閉ざされ、命の息吹は聞こえてはこない。古い木造の民家群と田畑のみの風景は全て冷たい人工の石の下に埋もれてしまった。
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