2 母の匂い、沁みた場所
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2 母の匂い、沁みた場所
子供の頃、この場所で母の帰りを待っていた。 小学一年の夏休みが始まって数日が経った月曜日の午後三時過ぎ。炎天下、夢中で蟻の行列を目で追っていると、母は笑いながらバスから降りて歩み寄り、そっと日傘をかざしてくれた。母の行動の一部始終を確かめて、また視線を蟻の行列に移す。
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